寸借詐欺って言葉をご存知ですか?
「財布を落として交通費がなくて……」「明日には必ず返すから……」などと言って、ちょっとだけでいいからお金を貸してくれとしてそのまま返さない詐欺のことです。
恥ずかしいことですが、この間寸借詐欺に引っかかってしまいました。
人の善意に漬け込むような犯罪は絶対に許すことができません。
人同士の助け合いをなくさないために、騙す人騙される人を少しでも減らすために、ここに僕が体験したことを書いておきます。
きっかけはお願いされた道案内だった
詐欺にあった日、僕はポケモンGOをしながら最寄り駅に向かって歩いていました。
日もすっかり暮れてかなり寒くなってきたんですが、道中一人のおじいさんに声をかけられました。
聞けば近くの駅のガストへの道を教えて欲しいとのことです。
よく知っているお店だったので僕は快く引き受けました。
九州から一人できた、300円しか無い、足が痛い
そのおじいさんはひと目見て同情したくなるオーラを放っていました。
ガリガリで足元もおぼつかなく、喋る声も震えています。
しかも九州から一人で来ていて道もわからず、足を痛めているのに無理して歩いていたのだとか。
道案内していても隣で足をいたそうに引きずっているんです。
さらには高熱を出して数日寝込んだために、所持金が300円しか残ってないと言います。
明日には奥さんが迎えに来てくれるらしいのですが、その日は泊まるところがないのでガストで夜を明かすつもりだと。
「地元に帰ったらすぐにお返しします」という怪しさ満点の発言
初めは同情して聞いていた僕も、この頃には「なんか怪しいな、寸借詐欺かな」とちょっと疑い始めました。
かと思えば、おじいさんの方から「できれば今日1日過ごせるお金だけでも貸してもらえないか?」という申し出がありました。
やっぱりかー、と思いつつも突き放すのもなかなか抵抗があります。
なにせおじいさんの言葉を信じるなら、九州から出てきてひとりぼっち、足を痛めているのにファミレスで一晩過ごすというのです。
寸借詐欺の可能性を考慮してお金を貸さないのが正解でしょうが、もしも本当だったらおじいさんはどういう思いをするかを嫌でも想像してしまいます。
おじいさんの身なりがホームレスっぽくはなかったことや、必ず返すから住所と氏名を教えてくれ、という言葉に騙されて、結局僕はお金を渡してしまいました。
ただし現在休職中でお金がなかったので、ちゃっかり5000円から3000円に値切りましたが。
怪しいところはいくらでもあった
今思えば怪しいところはいくらでもありました。
- 九州から来たのに訛りを感じない
- 道がわからないのに、近くの駅にガストがあることを知っている
- 名古屋に行ってビジホに泊まるお金を借りたいのに「5,6千円もあれば……」というが泊まれないのでは?
- 「お金がない」や「道がわからない」「足が痛い」など可哀想と思える単語を何度も繰り返す。
- 奥さんに九州から出てきてもらわずとも、送金すればすぐ帰れるのでは?
ざっと考えただけでこれだけあります。
実際僕はお金を貸しながら「怪しいなあ…」と思っていたのですが、おじいさんが可哀想だという思いに耐えきれずお金を貸してしまいました。
こういった詐欺は人の善意に漬け込むので、怪しいと思っていても引っかかってしまうのです。
もちろん僕の危機管理が甘かったことは言うまでもないですが……。
人の善意に漬け込む寸借詐欺は絶対に許してはいけない!
「明後日には必ず返す」とおじいさんは言っていましたが、結局今になってもお金は送られてきません。
きっとこの後も来ないでしょう。
こういった詐欺が横行すると、人を助けることに恐怖心や疑いの心を持ってしまいます。
人の善意に漬け込むのは最も恥ずべき行為だと思います。
そのせいで人はどんどん人を助けにくくなります。
寸借詐欺をするような人間は一人でも多くいなくなってほしいです。